差動入力回路は、変調回路。 だからaudioで使うとtim,imdで苦労する。
- 理想的な動作: Vin1 ー Vin2 の引き算だけを行う。
- 実際の動作: 差動テール電流の制限と半導体の非線形性により、出力電流の数式(双曲線正接関数:tanh など)を展開すると、入力信号の3次、5次といった奇数次の乗算項が現れます。
[ 音楽信号 ] ──> ( 差動入力段: 変調器 ) ──> [ 電圧増幅段/電力増幅段 ] ──> [ 出力 ]
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└─────────── [ 負帰還 (NFB) ] ◄──────────────┘
(位相遅れが発生)
- 時間差(位相遅れ)の発生: アンプの出力信号がNFBによって入力に戻るまでには、回路の内部容量(位相補償容量など)によってごくわずかな遅延(タイムラグ:5ナノ秒から20ナノ秒)が生じます。
- 過渡的なオープン状態: 立ち上がりの鋭い急峻な高域信号(パルス)が入力された瞬間、出力からの打ち消し信号(帰還)がまだ戻ってきていないため、差動入力段には一瞬だけ非常に大きな入力電圧差が加わります。
- 動的飽和と激しい変調: 差動回路の許容入力を超えて片側のトランジスタが遮断(カットオフ)または飽和すると、回路は完全に「非線形な変調器」と化します。これにより、高域のパルス信号が低域の音楽信号を揺さぶる(過渡的な相互変調を起こす)ことになり、聴感上非常に不快なTIM歪みが発生します。
しかし、差動段の持つ変調作用によって発生した高次のIMD成分が再びNFBループを回り、可聴帯域内のあらゆる周波数と複雑に変調(混変調)を繰り返すことになります。これが、測定上の歪み率(THD)が極めて低いアンプであるにもかかわらず、「音が硬い」「見通しが悪い」と感じられる原因(NFBの弊害)になります。
- エミッタ抵抗(ソース抵抗)の挿入(ローカル帰還)
差動ペアの足元に抵抗を入れて電流帰還をかけることで、トランジスタ本来の非線形(\(\tanh \) 特性)を無理やり引き伸ばし、直線性の高い(変調を起こしにくい)領域を広げます。 - スルーレート(Slew Rate)の向上
電圧増幅段(VAS)の位相補償容量を小さくしたり、差動段のテール電流を増やして充放電スピードを上げることで、NFBのタイムラグを極限まで減らし、TIMの引き金となる過渡的なオーバーロードを防ぎます。 - 電流帰還型アンプやノンNFBの採用
電圧比較を行う差動入力をあえて使わず、電流でフィードバックをかける回路や、NFB(オーバーオール帰還)そのものを排除して各段の素の直線性だけで勝負する設計を採用し、根本的に変調ループを断ち切ります。
ai君はここ。
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差動入力回路を20mV超えの信号で使うと以下のように変調音が生成される。 これが露呈しないようにhi-gain(125dB)化し nfbを掛ける。
| 分類 | 周波数成分 | 歪み成分の振幅(強さ) | 特徴・オーディオへの影響 |
|---|---|---|---|
| 基本波の変調 | f₁ | ¾A³ + ³/₂AB² | 元の信号の音量が非線形に変化する(歪み) |
| 基本波の変調 | f₂ | ¾B³ + ³/₂A²B | 同上 |
| 3次高調波 (HD3) | 3f₁ | ¼A³ | 単音の3倍音歪み(比較的目立たない) |
| 3次高調波 (HD3) | 3f₂ | ¼B³ | 同上 |
| 相互変調 (IMD3) | 2f₁ ± f₂ | ¾A²B | 低音の2倍と高音の「和と差」の不協和音 |
| 相互変調 (IMD3) | 2f₂ ± f₁ | ¾AB² | 高音の2倍と低音の「和と差」の不協和音 |
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| 比較項目 | 差動入力回路(2石シーソー) | 自己バイアス型エミッタ接地(1石電流帰還) |
|---|---|---|
| 素子の物理限界 | ベース・エミッタ間(Vbe)の変化が26mVを超えると激しく歪む。 | 同様に、素のVbeの変化が26mVを超えると激しく歪む。 |
| 回路としての 歪み対策 |
左右対称のシーソー動作によって、2次(偶数次)歪みを自動的に相殺する。 | エミッタ抵抗(Re)による電流帰還(ローカルNFB)で、素のVbeにかかる電圧を大幅に引き下げる(劇的に歪み改善)。 |
| 残留する歪みの中身 | 相殺しきれなかった「3次・5次(奇数次)歪み」が剥き出しで残る。 | 自己バイアスで激減した後の、わずかな「2次(偶数次)歪み」が残る。 |
| 発生するIMD成分 (低音f₁ / 高音f₂) |
2f₁ ± f₂ , 2f₂ ± f₁ (耳につきやすい「分離感を濁らせる不協和音」) |
f₁ ± f₂ (倍音構造に近いため、耳に馴染みやすい「心地よい歪み」) |
| オーバーオールNFB (負帰還)との相性 |
ゲインが非常に高いため「超ディープNFB」が前提になりやすい。 ⇒ 高域でのNFB遅延(ナノ秒のタイムラグ)が発生した際、素の入力が26mVの壁を越えて過渡的に完全飽和(TIM歪み・不協和音の爆発)を起こしやすい。 |
ローカル帰還でゲインが適度に抑えられるため、浅いNFBやノンNFB設計が容易。 ⇒ NFBに頼らずとも素の直線性が高く、タイムラグによる「過渡的な入力飽和」そのものが構造上発生しにくい。 |



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