ダイヤモンドバッファー IC「LH0002」すら直線性が確保できない数式証明
ショナルセミコンダクターの名石「LH0002」の内部等価回路において、オープンループ(無帰還)のままでは絶対に直線性が確保できない理由を、ショックレーの方程式(エキスポネンシャル特性)を用いて証明します。
1. 回路図に準拠した基本方程式
入力電圧 Vin から出力電圧 Vout までの電位の関係をたどると、以下の基本式が成り立ちます。
- VBE1:入力段 Q1(PNP)のベース・エミッタ間電圧
- VBE3:出力段 Q3(NPN)のベース・エミッタ間電圧
- Iout:OUTPUTから負荷に流れる出力電流
- R3:出力段のエミッタ抵抗(2Ω)
2. ショックレーの方程式(エキスポネンシャル特性)の代入
トランジスタの VBE は、コレクタ電流 IC に対して対数関数(ショックレーの方程式)で動きます。
(※ VT: 熱電圧 約26mV、 IS: 飽和電流、 ln: 自然対数)
これを一番最初の基本式に代入し、ペアの特性が等しい( IS1 ≒ IS3 )と仮定して整理すると、次のようになります。
3. 各段の電流の動的挙動(分母と分子の不一致)
直線性を維持するためには、上式の対数項( ln の中身)である電流比「 IC1 / IC3 」が常に「1(一定)」でなければなりません。しかし、実際の電流は信号によってバラバラに動きます。
- ① 入力段電流 IC1 (信号によって変化する)
入力段 Q1 の電流は、正電源 V1+ から抵抗 R2(5kΩ)を通じて流れます。Vin が大きく動くと、R2 の両端電圧が直接変わるため、IC1 自体も Vin に依存して変動してしまいます。
[ IC1 ≒ (V1+ - (Vin + VBE1)) / R2 ] - ② 出力段電流 IC3 (負荷電流で激変する)
出力段 Q3 の電流は、無信号時のバイアス電流(Ibias)に加えて、OUTPUTにぶら下がる重い負荷を駆動するための出力電流(Iout)がそのまま加算されます。
[ IC3 = Ibias + Iout = Ibias + (Vout / R_LOAD) ]
4. 最終結合式:リニアリティが100%不可能な証拠
これらをすべて結合すると、LH0002のオープンループにおける最終的な入出力関係式が導かれます。
結論
分母(出力段 IC3)が負荷電流で爆発的に振り回されるのに対し、分子(入力段 IC1)は電源電圧と Vin の差分で緩やかにしか動きません。
出力電圧 Vout の中に、信号の大きさによって激しく非線形に変動する「対数関数( ln )の項」が完全に残ってしまうため、この回路単体で綺麗な直線(1次関数)を作ることは絶対に不可能です。
ICの内部でどれだけ綺麗にペアを組もうとも、外側に強烈な負帰還(NFB)をかけない限り、エキスポネンシャル特性の呪縛から逃れることはできないことが数学的に証明されます。







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