多種類リンク

« IC製造工程での音色影響について | メイン | 黒田氏が採用した逓倍回路。トランジスタ技術2019年10月号 »

2026年9月13日 (日)

オーディオ測定の矛盾と物理限界の証明

******************************* 

オーディオ測定の矛盾と物理限界の証明

「静特性(サイン波)を極めるほど、動特性(音楽の情報密度)が破綻していく」

1. 初段の差動合成による「情報の間引き(ディテール消去)」

初段回路でコモンモード(同相)成分を完璧に相殺しようとするとき、オペアンプに入ってくる正相信号 V+(t) と逆相信号 V-(t) の関係は、理想的な対称性(反転)だけでは表せません。実際の音楽信号には、録音現場の空気感や位相の揺らぎである微小な非対称成分(過渡ディテール) Δv(t) が含まれています。

V+(t) = V_s(t) + 1/2 * V_cm(t) + Δv(t) V-(t) = -V_s(t) + 1/2 * V_cm(t)

これを高精度な回路で差動合成(減算)すると、出力 V_out(t) は次のようになります。

V_out(t) = A_v * (V+(t) - V-(t)) = A_v * (2*V_s(t) + Δv(t))

ここで、コモンモードノイズ V_cm は完全に消去されますが、初段のオペアンプが持つ有限なスルーレート(SR)や過渡応答の遅れ(タイムラグ τ)により、高速で微小な非対称変化 Δv(t) は以下のように微分回路的な制約(時定数)を受けます。

d(V_out)/dt ∝ Δv(t) / τ     [※ d(V_out)/dt > SR のとき飽和・損失]

このとき、測定器が流す「1kHzの一定なサイン波」に対しては不連続な変化がないため Δv(t) = 0 となり、測定器上の歪み率(THD)は極限まで低くなります。しかし、複雑な音楽信号においては、エンベロープの立ち上がり(過渡成分)である Δv(t) の高周波成分がオペアンプの帰還ループ内でノイズとして誤判定され、力づくで相殺(間引き)されてしまいます。

2. 低抵抗化(600Ω駆動)による「熱雑音の低下」と「電流負荷の代償」

低抵抗リレーアッテネータ(例:R = 600 Ω)における、部屋の温度(T = 300 K)と帯域幅(B = 20 kHz)における熱雑音(ボルツマン定数 k_B)の電圧成分 v_n は以下の数式で表されます。

v_n = √(4 * k_B * T * R * B)    = √(4 * (1.38×10^-23) * 300 * 600 * 20000) ≒ 0.44 μVrms (-127 dBV)

これにより、測定器(Cosmos ADC)の画面上のノイズ床は極限まで下がります。しかし、この低抵抗(R_L = 600 Ω)を出力電圧 V_out = 1.7 Vrms(ピーク電圧 V_p ≒ 2.4 V)でドライブするとき、オペアンプの出力段が排出しなければならない出力電流 I_out は激増します。

I_out(t) = [V_p * sin(ωt)] / R_L = 2.4 / 600 = 4 mA

最新の高電流オペアンプであっても、半導体の内部では、この引き出される電流に比例して熱変調(サーマル・テイル:Thermal Tail)が発生します。オペアンプ内部の局所的な温度変化 ΔT(t) は、出力電力の動的な変化に依存します。

ΔT(t) ∝ P_diss(t) = I_out(t) * (V_cc - V_out(t))

この内部温度の揺らぎ ΔT(t) は、オペアンプ初段の入力オフセット電圧の動的な変動(ゆらぎ)を引き起こし、音楽の微小な「余韻」や「空気感」の信号をベースラインごと非線形に揺さぶります。

V_offset_drift(t) = θ * ΔT(t)
💡 数式が示す矛盾のまとめ

測定器を満足させるために抵抗値を下げて熱雑音 v_n を物理的に減らすほど、オペアンプへの電流負荷 I_out が増え、半導体内部の熱的な動的変調 ΔT(t) によって音楽の繊細な情報密度が引き算されていく という、皮肉なトレードオフの数式関係になっています。

【測定器上の評価】
lim (Δv → 0) THD → 0
※1kHz単音の静特性では完璧に見える
 
 
【実際の聴感(情報密度)】
I_out ↑ ⇒ ΔT(t) ↑ ⇒ V_drift ↑
※音楽信号では微小ディテールが消失
 
 
 
正弦波等の音源では動的なものは評価されない計測方法がそもそも拙い
 
最新オペアンプによる高精度初段CMRR回路」の本質は、
音楽を豊かにすることではなく、「原音が持っていた濃密なディテールを差動合成の過程でスカスカに削ぎ落とし(間引き)、残った薄っぺらい骨組みだけの音をオペアンプのゲインで無理やり増幅して、量だけを合わせている詐欺的なロンダリング(味が薄まる)」
🚨 「原音が薄くなり、量だけ合わせる」CMRRの欺瞞
  1. 初段の「情報引き算」で原音が干からびる
    • 本来、原音が持っていた音楽の「エンベロープ」「気配」「微小な位相の揺らぎ」は、左右や正逆のラインの間に含まれる「非対称な過渡ディテール」に詰まっています。
    • しかし、彼の誇る高精度CMRR回路は、「差動のズレはすべて悪(ノイズ)である」という測定器ファーストのルールに基づいて動くため、この原音の最も美味しい部分(情報密度)を「同相ノイズ」と一緒に真っ先にゴミ箱へ投げ捨ててしまいます。 これが「原音が薄くなる」瞬間の真実です。
  2. 薄くなった抜け殻を「オペアンプの力技」でカサ増しする
    • そうして原音のディテールが綺麗さっぱり間引かれ、線の細くなった「抜け殻」の信号に対し、彼は最新の高電流オペアンプ(OPA1612等)の強力なパワー(負帰還)を浴びせます。
    • これにより、電圧(振幅)としての「量(ゲイン)」や「THD -123.9dBという見かけの数値」だけは、何食わぬ顔をして測定器(Cosmos ADC)の画面上に完璧に再現されます。しかし、それは中身がスカスカになったフリーズドライの音を、水(オペアンプの電流)で引き伸ばして体積(量)だけを合わせたハリボテです。

トラックバック

このページのトラックバックURL:
http://app.dcnblog.jp/t/trackback/549708/34289766

オーディオ測定の矛盾と物理限界の証明を参照しているブログ:

コメント

コメントを投稿

コメントは記事の投稿者が承認するまで表示されません。

ウェブページ

カテゴリ

Powered by Six Apart