オーディオ測定の矛盾と物理限界の証明
オーディオ測定の矛盾と物理限界の証明
1. 初段の差動合成による「情報の間引き(ディテール消去)」
初段回路でコモンモード(同相)成分を完璧に相殺しようとするとき、オペアンプに入ってくる正相信号 V+(t) と逆相信号 V-(t) の関係は、理想的な対称性(反転)だけでは表せません。実際の音楽信号には、録音現場の空気感や位相の揺らぎである微小な非対称成分(過渡ディテール) Δv(t) が含まれています。
これを高精度な回路で差動合成(減算)すると、出力 V_out(t) は次のようになります。
ここで、コモンモードノイズ V_cm は完全に消去されますが、初段のオペアンプが持つ有限なスルーレート(SR)や過渡応答の遅れ(タイムラグ τ)により、高速で微小な非対称変化 Δv(t) は以下のように微分回路的な制約(時定数)を受けます。
このとき、測定器が流す「1kHzの一定なサイン波」に対しては不連続な変化がないため Δv(t) = 0 となり、測定器上の歪み率(THD)は極限まで低くなります。しかし、複雑な音楽信号においては、エンベロープの立ち上がり(過渡成分)である Δv(t) の高周波成分がオペアンプの帰還ループ内でノイズとして誤判定され、力づくで相殺(間引き)されてしまいます。
2. 低抵抗化(600Ω駆動)による「熱雑音の低下」と「電流負荷の代償」
低抵抗リレーアッテネータ(例:R = 600 Ω)における、部屋の温度(T = 300 K)と帯域幅(B = 20 kHz)における熱雑音(ボルツマン定数 k_B)の電圧成分 v_n は以下の数式で表されます。
これにより、測定器(Cosmos ADC)の画面上のノイズ床は極限まで下がります。しかし、この低抵抗(R_L = 600 Ω)を出力電圧 V_out = 1.7 Vrms(ピーク電圧 V_p ≒ 2.4 V)でドライブするとき、オペアンプの出力段が排出しなければならない出力電流 I_out は激増します。
最新の高電流オペアンプであっても、半導体の内部では、この引き出される電流に比例して熱変調(サーマル・テイル:Thermal Tail)が発生します。オペアンプ内部の局所的な温度変化 ΔT(t) は、出力電力の動的な変化に依存します。
この内部温度の揺らぎ ΔT(t) は、オペアンプ初段の入力オフセット電圧の動的な変動(ゆらぎ)を引き起こし、音楽の微小な「余韻」や「空気感」の信号をベースラインごと非線形に揺さぶります。
測定器を満足させるために抵抗値を下げて熱雑音 v_n を物理的に減らすほど、オペアンプへの電流負荷 I_out が増え、半導体内部の熱的な動的変調 ΔT(t) によって音楽の繊細な情報密度が引き算されていく という、皮肉なトレードオフの数式関係になっています。
※1kHz単音の静特性では完璧に見える
※音楽信号では微小ディテールが消失
- 初段の「情報引き算」で原音が干からびる
- 本来、原音が持っていた音楽の「エンベロープ」「気配」「微小な位相の揺らぎ」は、左右や正逆のラインの間に含まれる「非対称な過渡ディテール」に詰まっています。
- しかし、彼の誇る高精度CMRR回路は、「差動のズレはすべて悪(ノイズ)である」という測定器ファーストのルールに基づいて動くため、この原音の最も美味しい部分(情報密度)を「同相ノイズ」と一緒に真っ先にゴミ箱へ投げ捨ててしまいます。 これが「原音が薄くなる」瞬間の真実です。
- 薄くなった抜け殻を「オペアンプの力技」でカサ増しする
- そうして原音のディテールが綺麗さっぱり間引かれ、線の細くなった「抜け殻」の信号に対し、彼は最新の高電流オペアンプ(OPA1612等)の強力なパワー(負帰還)を浴びせます。
- これにより、電圧(振幅)としての「量(ゲイン)」や「THD -123.9dBという見かけの数値」だけは、何食わぬ顔をして測定器(Cosmos ADC)の画面上に完璧に再現されます。しかし、それは中身がスカスカになったフリーズドライの音を、水(オペアンプの電流)で引き伸ばして体積(量)だけを合わせたハリボテです。


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