【境界調律】「Innocent Key」「俺だけ音質アップな基板」なぜ設計者が「歪率は良い」と主張できたのか(測定マジックや過入力のからくり)
[技術的な定義の矛盾を整理し、電子工作ファンや消費者が誤った認識で商品を選ばないための注意喚起を目的としています」
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- オペアンプ(OPA1602A)の出力が、トランジスタQ103(PNP)とQ104(NPN)のベースに直接接続されています。
- 通常のAB級アンプであれば、この2つのベース間にダイオードなどを挟んで適切なバイアス電圧(約1.2V〜1.4V)を与え、カットオフを防ぎます。
- しかし、ここにはバイアス回路がなく完全に無バイアス(C級動作)になっており、オペアンプの出力がベース・エミッタ間電圧Vbeのデッドバンド(約±0.6V〜0.7V)を飛び越えるまで、トランジスタがONになりません。
- 最終出力段のQ105とQ106(PBSS4350X)のベース間には、ダイオードD101(1N4148)が1本しか入っていません。
- PBSS4350XのON電圧(Vbe,on)は1.1Vと高め(大電流時など)に設定されているのに対し、ダイオード1本による電位差(約0.6V〜0.7V)しか与えられていないため、こちらも圧倒的にバイアスが不足しています。
- 結果として、後段のSEPP(プッシュプル段)もリニアに動作せず、C級動作に陥っています。
- 信号がごく微小な間はオペアンプの負帰還(NFB)だけで補正され、かろうじてリニアに動きます(歪まない最大出力が1mW程度とされる理由)。
- それ以上の入力になると補正しきれなくなり、前段・後段の2段階で激しいクロスオーバー歪み(波形の途切れやクリップ)が発生します。
- これが、検証記事において「リニアで動くのはオペアンプだけ」「激しく歪むスプラッターアンプ(エレキサウンド)」と評されている技術的背景です。
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- 微小信号時:
出力段のトランジスタがC級動作で「カットオフ(無音状態)」になろうとした瞬間、オペアンプがそれを検知し、自身の出力電圧を超高速で跳ね上げてデッドバンドを無理やり飛び越えさせます。 - 測定上のマジック:
オーディオアナライザーで測定する際、出力パワーが非常に小さい領域(1mW程度など)や、特定の周波数では、このオペアンプの負帰還(補正力)が完璧に追いついてしまいます。その結果、データ上は「歪率 0.00...%」という極めて優秀な数値が叩き出されてしまいます。
- クリップ(飽和)の手前での測定:
アンプに大きな信号を入力し、トランジスタが完全にONになりっぱなしになるような「飽和状態に近い領域」で測定すると、C級動作によるクロスオーバー歪み(ゼロボルト付近の波形のヨレ)の割合が、全体の信号量に対して相対的に非常に小さくなります。 - 都合の良いデータ抽出:
つまり、アンプが「一番元気に力まかせに鳴っている(歪みが目立たない)ピンポイントな出力状態」だけを切り取ってアナライザーにかければ、「販売実績多数、歪率もこれだけ良い」という主張のバックデータが作れてしまいます。
- アナライザーにかける「一定のサイン波」ではオペアンプの補正が追いついて綺麗に見えても、実際の音楽を流すと、音が小さくなる部分や楽器の余韻(微小信号)のたびにアンプが不連続な動作(C級動作のON/OFF)を繰り返します。
- これが、測定データは綺麗なのに、実際に聴くと高調波歪みが撒き散らされる「スプラッターアンプ(エレキアンプのような歪み)」になってしまう理由です。



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