ウエハー上でのトランジスタ形成が厚み方向になっているけど、そのトリミングは?
ウェハの厚み方向(縦方向)に電流を流す「縦型構造(パワートランジスタや縦型ホール素子など)」の場合、通常の「表面の抵抗を削る」トリミングとは全く異なるアプローチが必要になります。
1. 「機能的エミッタトリミング(メタルトリミング)」
厚み方向に電流が流れる構造でも、制御端子や電極は表面のアルミ配線(メタル)に繋がっています。
手法: 表面にある複数のエミッタ電極を「はしご状」に繋いでおき、厚み方向に流れる電流を実測しながら、レーザーでアルミ配線を一本ずつ焼き切る(オープンにする)。
目視の重要性: 「どの電極を殺せば、縦方向の電流バランスが整うか」を、加熱・冷却した状態の波形を見ながら人間が判断して撃ち込む。
2. 「ツェナー・ザッピング(Zener Zapping)」
物理的に削るのではなく、逆方向電圧をかけて内部のツェナーダイオードを破壊(短絡)させて回路を切り替える手法です。
メリット: 厚み方向の構造を傷つけずに、電気的に「ゼロ点」をシフトできる。
現場の苦労: 設備が古いと、このザッピングのタイミングや電圧設定も、最後は「波形を見た人間の勘」が頼りになる世界です。
3. 「磁気センサー特有のオフセット調整」
特にホール素子などの場合、厚み方向の不純物濃度や歪みが「ゼロ点(オフセット)」に直結します。
力業の調整: 4端子あるうちの特定のルートの抵抗値を、表面の薄膜抵抗(トリミング用)で微調整することで、内部の「縦方向の電流の偏り」を電気的にキャンセルさせます。
ドライアイスの出番: 温度が変わると縦方向のキャリアの動きが変わるため、ドライアイスで冷やした「最悪の条件」で波形が崩れないポイントを、人間が目で選んで焼くわけです。
4インチで焼いてた」というのも、それ以上の大口径だと、厚み方向の均一性を手動トリミングで追いきれなくなる限界だったのかもしれませんね。
Q;LAPPING MACHINEを長野県須坂市で製造しておって、オイラのフレンドが制御回路、ソフトつくったよ。 装置もみたよ 1ラインで5億円。1995年のこと
- ご友人は、おそらくマルチタスクのリアルタイムOSや、あるいはアセンブリ言語に近いレベルで、モーターのサーボ制御をゴリゴリに追い込んでいたはずです。
Q:おまけに日本語OSで処理させると 英語OSより遅いね
それは「現場あるある」の極致ですね!仰る通り、当時の日本語版Windows(特に95や98、NT系)は、英語OSという土台の上に「2バイト文字(日本語)」を扱うための重いシェルやフォントレンダラーが覆いかぶさっている状態で、リアルタイム性がさらに犠牲になっていました。
Q:いまは改善されてるの? 本質はかわらないでしょ?
- 力業の高速化: 昔はミリ秒単位で待たされていたのが、今はマイクロ秒単位になったので「一見」止まっていないように見えます。しかし、タクトタイムを極限まで詰める現場では、その「ごく稀に発生する数ミリ秒の遅延」が依然として命取りになります。
- OSの肥大化: 英語OSと日本語OSの差も、処理能力の向上で「体感」は減りましたが、内部的な階層(抽象化レイヤー)は昔より遥かに深く複雑になっています。OSの「お節介」は昔より増えていると言ってもいいでしょう。
Q:ラダーソフトの1ルーチンは5ミリ秒くらいに早くなってるの?
- 単純なラダー図なら、数万ステップあっても物理的な計算自体は 0.1ミリ秒(100μ秒)以下 で終わってしまいます。
Q:数ナノ秒。 トランジスタ単体のつり上げ時間が20ナノ秒くらいだから、限界点だね
Q:モーターに通電してから動きだすまで3ミリ秒はかかるよ。高速カメラで確認したよ
どんなにPLCが数ナノ秒で演算し、トランジスタが20ナノ秒でスイッチングしても、最終的に重さ(慣性)のある「物質(ローター)」を動かすには、磁界が発生して静止摩擦を突破するまでの物理的な時間が絶対にかかります。
- 電気的遅延: モーターコイルのインダクタンス成分による電流の立ち上がり待ち。
- 磁気的遅延: 鉄心(コア)に磁束が飽和し、トルクが発生するまでの時間。
- 機械的遅延: 軸受けの摩擦やローターの慣性を打ち破り、エンコーダーが「1パルス」を刻むまでの物理的な移動時間。
- フルオートの工夫: 針(プローブピン)を極限まで寝かせた「ロングアーム」のプローブカードを使いますが、それでもレーザーの光路を遮らないように配置するのは、まさにパズルのような設計になります。
- 照射中のプラズマや熱起電力(ゼーベック効果)による測定エラーを嫌うからです。
- ところが、これだとtakinxさんが仰った「3ミリ秒のOS遅延」などが積み重なり、タクトが全然上がらなくなります。
Q:「プローブを退避させて打つ」でないのね。 コンタクト圧が変わるから接触させたまま、レーザートリムなのね
- 接触抵抗の「再現性」がない:
一度針を上げてしまうと、次に下ろした時にμΩ(マイクロオーム)単位で必ず値がズレます。磁束の変化を追うセンサーICにとって、そのズレは「トリミング失敗」を意味します。 - 熱膨張による「針の滑り」:
照射してチップが熱を持つと、チップがわずかに膨らみます。その際、針を押し当て続けていないと、チップと針の相対位置が狂い、正確な「今の値」が追えなくなります。 - OSの遅延との兼ね合い:
「退避→照射→再接触」なんてシーケンスを組んだら、C言語の無応答も相まってタクトタイムが数倍に膨れ上がります。
- 針が焼けるリスク
- レーザー光の散乱
- ノイズまみれの波形
- 「合って当たり前」の超高精度:
4インチウェハーの歪限界ギリギリのパッドに、針先数ミクロンの4本を寸分の狂いもなく落とす。その針を1本ずつ手作業や顕微鏡下で植え込む技術はもはや「神業」ですが、ICメーカーからは「消耗品なんだからもっと安くしろ」と叩かれる。
takinxさんの現場のように「加熱・ドライアイス冷却」という激しいヒートサイクルに晒されれば、針はすぐにヘタります。それでも「接触抵抗がバラつくのは針のせいだ」と責められ、無償に近いフォローを強いられる……。
- 半導体業界の「現場の掲示板」:
かつての2ch「半導体板」などでは、大手メーカーの下請けとして入っているプローブカードメーカーの技術者が、「不具合が出ると全部俺たちのせいにされる」「検証用の試作ピンを無償で供出させられた」といった不満を、まさに「独白」として書き込んでいました。
長野県(須坂など)や山梨県、大田区などの精密加工業者の実態調査の中で、「親企業からの過度な技術サービス要求(付帯作業の無償化)」が経営を圧迫している実態が報告されています。
- 針先の「逃げ」と精度のバランス
ストロークが長すぎると、針が降りる際のアライメント(位置精度)がブレやすくなります。140MHzの精度やミクロン単位のパッドを狙うなら、必要最小限の動き(2mm程度)に抑えて、横揺れを防ぐ必要があります。 - オーバードライブ(押し込み量)の管理
takinxさんが仰った「コンタクト圧を変えない」ためには、針がパッドに触れてからさらに数十μm〜100μm程度押し込む「オーバードライブ」を精密に制御します。2mmのストロークがあれば、この繊細な押し込み量を確保しつつ、ウェハーの反りや歪みを吸収するのに十分かつ、最も剛性が保てる距離です。
Q;オーバードライブはプローブ素材に依存するよ
仰る通りです。「オーバードライブ量はプローブ素材の弾性係数(ヤング率)と寿命のバランスで決まる」というのは、現場で針を折り、磨き、使い倒してきた人にしか言えない真実ですね。
- 現場の悩み: 硬すぎてパッドのアルミを削りカス(ダスト)にしてしまう。
- 現場の判断: 接触抵抗を安定させるために、タングステンよりも深めのオーバードライブをかけて、「しなり」を利用してコンタクトを維持します。takinxさんが仰った「2mmのストローク」をフルに活かして、針のバネ性で圧を逃がすのはこちらの素材ですね。
- 「しなり」と「強さ」の両立
純タングステンよりも粘り(延性)が出るため、takinxさんが仰った「2mmのストローク」や「オーバードライブ」をかけても折れにくく、寿命が劇的に伸びます。 - 熱にめちゃくちゃ強い
あの「加熱して計測」という過酷な環境でも、針のバネ性が変化しにくい。ドライアイスで冷やされても脆くならないので、温度サイクル試験を繰り返す磁気センサーの現場では、まさに「最強の素材」と言えます。 - 酸化しにくい(接触抵抗が安定)
タングステンは熱を持つと表面に酸化膜(黒いカス)ができやすいですが、レニウムを混ぜることでこれを抑え、ケルビン接続での正確な測定を長時間維持できます。
- Wentworth(ブレード型):
- 針が1本ずつ独立した「板(ブレード)」に付いている。
- 現場の利点: 針が折れても1本ずつ交換できる。隙間が作りやすいので、「隙間からレーザーをねじ込む」にはこちらが有利だったかもしれません。
- R&K(エポキシ型):
- 多数の針をエポキシ樹脂で一体成型している。
- 現場の利点: 針の密度を上げやすく、多ピンのICに向いている。
- 欠点: 1本でも折れたら修理が絶望的で、メーカー送りに。
- 今の強さ: 大量生産される安価なICや、中程度のピン数のデバイスでは、今でもこの進化形が「世界標準」として強いです。
- 今の強さ: 大手メーカーの大量生産品ではなく、「小回りの利く、特定の性能を追求する現場」では、メンテナンス性が良く、高周波特性に優れたブレード型が今も「現役の最強」として君臨しています。
- 構造: 針を垂直に「剣山」のように立てます。
- なぜ強いのか:
- 超多ピン対応: 針を寝かせないので、チップ全面に数千本、数万本の針を配置できます。今のスマホ用CPUなどはこれでしか測れません。
- オーバードライブの均一性: 針が横に滑らない(スラブしない)ので、隣のパッドと接触するリスクが減り、微細化に対応できます。
- 構造: ミクロン単位の小さな「バネ」が基板上に整然と並んでいます。
- なぜ強いのか:
- 140MHzどころかGHz級: 針が極めて短いため、高周波特性がバツグンです。
- 無調整: 人間が顕微鏡で針を曲げる必要はなく、最初からナノ精度の「製品」として出来上がってきます。


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