電流駆動型 アンプ考察 。
電位差ゼロでは電流はながれない。電位が主人、電流は子分。
主従逆にしたい勢力がいるので、「電流駆動アンプのメリット」について、検討してみた。
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大前提:スピーカーの基本式
スピーカーのボイスコイルの電気抵抗(直流抵抗)を Rv、インダクタンスを L、ボイスコイルの長さを l、磁束密度を B とします。
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駆動力(力学への変換):
F = B · l · i(t)(振動板を動かす定常的な力 F は、流れる電流 i(t) にのみ比例する)【致命的欠陥】過渡応答(立ち上がり・立ち下がり)の物理的限界:
電流駆動がどれほど歪みの少なさを謳おうとも、音楽信号が入力されたゼロ秒時点(t=0)の「最初の一瞬の立ち上がり(電流の変化率 di/dt)」は、アンプが与える電位(電圧 V)にのみ比例します(di/dt = V / L)。インダクタンス L の障壁があるため、電位による強制的な押し込みがない電流駆動では最初の立ち上がりが物理的に鈍くなります。
💡 立ち上がり遅延の計算例(1m秒の壁):
一般的なウーファー(抵抗 Rv = 6.0 Ω、インダクタンス L = 1.0 mH)に電圧を掛けた際、電流が99%に達する時間(5τ)を過渡応答の式から計算すると、約 0.83 ミリ秒(1m秒弱)もの立ち上がり遅延が物理的に発生します。アタック音の最初の一瞬がこれだけ鈍る事実は、電流駆動の致命的な弱点です。
さらに、出力インピーダンスが無限大であるため電気的制動(ブレーキ)が一切かからず、音が止まった後の「立ち下がり(制動)」もダラダラと振動が残り続け、過渡特性(タイムドメイン)の観点からは完全に破綻しています。 -
逆起電力(電気への逆作用):
e(t) = B · l · v(t)(ボイスコイルが速度 v(t) で動くと、アンプの電圧を打ち消す方向の電圧 e(t) が発生する)
スピーカー全体の端子電圧 vin(t) は次のようになります。
証明1:なぜ低域(共振点 f0)でブレーキが壊れて大暴走するのか?
スピーカーの振動板(質量 m、支持系の硬さ k、機械的な摩擦抵抗 r)の運動方程式は次式です。
速度 v を使って整理し、駆動力を F = Bli、逆起電力を e = Blv(すなわち v = e / Bl)を代入することで、以下の関係が成り立ちます。ここで、「電圧駆動」と「電流駆動」でアンプがスピーカーをどう支配するかを比較します。
① 電圧駆動(市販のシステム)の場合
電圧駆動アンプは出力インピーダンスがほぼ 0 Ω(定電圧源)です。簡単のため高域成分(L)を無視すると、アンプの出力電圧 V に対して、電流は i = (V - e) / Rv となります。これを運動方程式の右辺に代入します。
速度 v の係数(ダンピング項)が、元々の機械的摩擦 r に加えて、(B · l)2 / Rv という電気的ブレーキ(電磁制動)が加算されています。市販のスピーカーはこの強力な電気的ブレーキを前提に設計されているため、低域の共振点(f0)でもピタッと振動が止まります。
② 電流駆動(今回の場合)
電流駆動アンプは出力インピーダンスが無限大(定電流源)です。アンプは逆起電力 e が発生しようが無視して、入力信号に比例した一定の電流 i(t) = I を強制的に流し込みます。運動方程式は次のようになります。
速度 v の係数から、先ほどの電気的ブレーキが完全に消滅し、わずかな機械的摩擦 r だけになってしまいました(ダンピングファクター ≈ 0)。数式上、分母の制動がほぼゼロになるため、共振周波数 f0(ω = √(k/m))において振幅比が理論上無限大(実際にはエッジの物理限界まで大暴走)に跳ね上がり、低音が締まりなくボコボコと歪み、破綻します。
証明2:高域でツイーターが焼き切れるかどうか?
高域(数kHz以上)では、振動板の動き(逆起電力 e)は小さくなり無視できるようになります。代わりに、ボイスコイルの巻き線が持つインダクタンス L(コイル成分)が支配的になります。スピーカーのインピーダンス Z(ω) は以下のように表されます。
(ω = 2πf で、周波数に比例してインピーダンスが上昇する)
① 電圧駆動の場合
アンプの出力電圧 V が一定なので、流れる電流 I(ω) は次の通りです。
周波数 ω が高くなるほど分母が大きくなるため、電流 I は自然に減衰します。ツイーターに過大なエネルギーは入りません。
② 電流駆動の場合
アンプは高域でも一定の電流 I を流そうとするため、アンプがスピーカーの端子に出力しなければならない電圧 Vout(ω) は、オームの法則より次の通りです。
周波数 ω → ∞(高域)になるにつれて、アンプの出力電圧 Vout は理論上、無限大に向かって直線的に上昇します。音楽信号に含まれる高周波ノイズやサ行の成分に対して、アンプは信じられないほどの高電圧(超ハイパワー)をツイーターに叩き込むことになり、ツイーターの細いボイスコイルはジュール熱(P = I2Rv だけでなく過電圧による過大電力)によって一瞬で熱破壊(焼き切れ)を起こし、破綻します。
🎸 ロックで起きる「生物学的耳への優しさ」のメカニズム
物理数式やグラフが示す通り、電流駆動アンプは時間軸の正確性を損なっています。しかし、あえて「耳に優しくなるように立ち上がりがだれている」と捉えると、特にアタックの強いロックを聴くにおいて、この特性は極上のオーディオ・フィルターへと昇華されます。
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ドラムのスネアやシンバルの「刺さり」をカット:
ロックの録音は、ドラムの打撃音やシンバルの高域成分が非常に鋭く刻まれています。電圧駆動アンプだと耳の奥に突き刺さるような痛い音になりがちですが、電流駆動で「ほどよく丸くなる」ことで、耳の防衛本能(鼓膜の緊張)を強いることのない、マイルドで聴き疲れしない音に変貌します。 -
歪んだエレキギターが「心地よい厚み」に化ける:
元々ディストーションなどで激しく歪んでいるロックのエレキギターは、高周波のトゲ(倍音成分)の塊です。これが適度にロールオフ(減衰)されてダラけることで、ジャリジャリした不快な高域が消え、中音域のゴリッとした「図太いエネルギー」や「温かみ」だけが抽出されます。 -
大音量でも脳が疲れない:
生物の耳は、急峻な立ち上がり(パルス音)に対してストレスを感じるようにできています。電流駆動アンプは音全体の角(カド)を落としてくれるため、ボリュームを大きめに上げても脳が「うるさい」と拒絶せず、音楽の熱量だけを純粋に楽しめる「生物学的な耳への優しさ」をもたらしてくれます。
まとめ
スピーカーから出る音が1msほど遅れてくるのが、電流駆動アンプのメリット。
これを由とする音源はハードロックだろう。 「エッジがきいて脳が悲鳴をあげること」が緩和されるので、生物学的にはあう可能性がおおきい。
音伝達が0.5ms遅れると常人は気つく。ミュージシャンは0.05ms遅延でも楽に気つく。
マイクコンプレッサーの時定数(遅延時間)はもう二けた小さい。 agcのssb定数が2ms程度なのでフェージングありの無線信号を聴くのに近い。
